statement

December,2021

油絵具ですべきことがたくさんあります。
それを逸れることなくひとつずつ進めていくために一枚一枚が重要な意味を持ち
次に何をすべきかが明確にわかっています。
今年の夏頃までの作品(The very thing 2022-11まで)は
一筆描くと次に出る描くべきことを肯定しながら描くという方法で描きました。
その後、試すべきこと『もう一歩、奥深く踏み込んで描き、そのものをもっと育てる』ということを実行し良い試行錯誤ができました。
自分の表現のステレオタイプではなく未知の感覚や表現を体感したい。
そこには画業という一本のゆるぎない道があり、少しずつ緩やかに進んでいます。
年々、自由になり表現の可能性は無限だと強く思っています。
目と脳はいつも曇らないように磨き、ここに生きていて、有る物事を感じてそのままを捉えるように、そして私自身の可能性を自分自身で制限しないように心がけています。
そのまま観ていただけたら嬉しいです。
【2022,12/5-17 個展】

December,2021

この世には 空と地があって自分の存在が ただある。
そんなシンプルな白い場所にいるような感覚で色を生み出し描いています。
それは無意識のようで、私という感性の器を通して生まれ、確信的に描けています。
今は思い描いていた感覚にやっと届いています。

描いていると自然と画面の中でプラスになるポジティブな表現が飛び出したり
想像を超えることが起こったりします。
色が増殖してまた肯定して出来上がっていきます。

今回は絵の奥にある光を描いているなと思い、そこに行きたいと思いました。
私が観ている画面を出来るだけ観てもらいたいと、届けるように描くことができました。

油絵具で描くのはとても面白いです。
【2021,12/6-18 個展】

February,2021

油絵具で絵画作品を作る、そのことだけが私のしたいことです。作業となる動作が不必要で
ダイレクトに出来上がっていく油絵具はとても私に適しています。色と絵具の分量とタッチ
そのとき確信を持ってのせる絵具、それはどんなふうに現れてくるのか。

生きているとよくわからないことばかり。その中で唯一わかるのは自分の絵のこと。
絵は今の私の正確な私、唯一私が生まれる。言葉にできない自分が現れている。
生きていくのに絵ができる、それが面白い。

精神面では自分の絵を常にそのもので観れているか?
過去の作品や何かのイメージを絵に投影していないか?
絵具を載せたその絵からそのものが伝わっているか?
などを感じとるように心がけ、技術面で、まだまだ絵具をのせる力を伸ばしていき
もっと面白い世界を私の絵の中に観たいと思います。
どこまでも絶え間ない描き続けていくための描きたい塊(かたまり)が私の中にあります。
【2021,2/15-27 Absolute basis 】

August,2020

世界共通のコロナ禍
皮肉なことに、世界の混乱を体験し、今この世界に生きていて
今まで足らなかったものを私の中に得ることができた。
どうしても そこ に持っていけない ところ に来ることができた。
絶え間なくキャンバスと絵の具の間に出てくる シンプルな描くという行為を
邪魔する 雑多なもの 時々脳をかすめる余分な物がぼそっと泥のように足元に落ちた。
目は良くなり 完全に私の作品のそのものを正確に観れる。

嘘が混じったのにはうんざりだった。が、この混乱を体験するまでなかなか次に行けなかった。
キャンバスに油絵具で描くこと それだけが必要。
私の中に 新しい要素を 入れて またそれを自然と制作に出す。

以前は天と地 自然などをとっかかりにしていたところがあったが
今はもっとダイレクトに 油絵の絵具を感じ、そのまま描け、以前にもまして自由である。
学生の頃、私の絵を初めたときから一点一点 試す 発見する など
制作をパターン化せずに 制作してきました。
今回も 私の制作を続ける上でのひとつの期間を切り抜いた 必要な一枚づつです。

現在は生まれ出てくる作品を観るのが楽しみで  これが 画業やなと感じています。
今回はコロナ禍以後に完成し、今そのものが現れているそんな作品群になっています。
【2020,8/17-29 個展】

December,2019

油絵の具の偶然とひらめき
色をキャンバス に置く確信と また偶然と、、、
頭の中でイメージしたものを描き表す作業では無く
瞬時に浮かんだそこに置きたい絵の具を作りのせる

色 絵具の濃度 ストローク 筆の運び
無限に自由にできる仕事
その時 素直に出てくる画面を出す

私が生きていて見ている世界
天と地があり 空気と空間と水分と風と音 光などの体感
それらが自然と画面に出ているのではないかと思う

多様な価値観の中、誰一人同じ感覚を共有できない
(それを図ることもできない)
そんな中、絵具とキャンバス と私が心を動かし出来た色や筆跡は
何か共通して感じてもらえるものがあるのではないか

キャンバスの画面の中でどうなっているのか
ただそこに着目して 描き進める

何かに見える ではなく
“そのもの” を観たい 観せたい

私が観たい空間
しだいに育つように出来上がっていく画面

油絵の具で描くことが生きていく上で必要な基軸になり
力になっている
今この時代でこの方法で自分が描けるのはとても幸せ
そして生きるための安心を得る
出来る限り多く深く軽やかに作り続けたい
【2019,12/9-21 個展】

松田豊美
Toyomi Matsuda